死刑について①【賛成派の意見】

安楽死・死刑

 故意に人を殺した者は原則として死刑にすべきである。原則として、というのは、レイプ被害者が加害者を殺害した場合のように、死刑にすることが不適切な場合もあるからである。

 原則死刑にすべき理由は大きく分けて三つある。報復のためと、社会のためと、税金の無駄な支出を抑えるためである。

 一つ目の報復のため、について。これは、女子高生コンクリート詰め殺人事件を思い起こしてみればよい。あの事件の犯人たちを生かしておくべきだという言葉に説得力を持ちうるのは、その言葉が、自分の娘が同じ目に遭った者が発したときのみだと言って良いだろう。

 また、国家が報復の自由を奪っている以上、適切な報復を国家が代わりに行わなければ国家統治の正当性を持ち得ない。社会契約説的な発想である。自由を奪うのみで、国家統治の正当性を有しないのであれば、転覆される恐れすらあると言えるだろう。要するに、国家が個人の代わりに適切な報復を行うことは、国家のためでもあるわけである。

 二つ目の社会のため、について。人を殺した人間が出所後、また人を殺すというケースは少なからずある。まだ誰も殺していないのに、「こいつはいつか人を殺すだろうから今のうちに死刑にしよう」というのはさすがに肯定できないが、実際に人を殺したという実績がある以上は、他人が追加で殺される危険性と殺人犯の命とを比較考量した場合に、後者の方を重要視することには合理性がないと言えるだろう。

 三つ目の税金の無駄な支出を抑えるため、について。これは安楽死の制度化でも同様の話をしたが、故意に人を殺した者を税金で生活させてあげられるほど、日本国家の財政状況は良くないことは誰にとっても明らかなことである。ネットニュースで、無期懲役にすべきだとか終身刑を導入すべきだとかといったコメントをよく見かけるが、それは余りにも税金がもったいない。毎日辛い思いをしながら一生懸命働いて、なんとか生きていくだけの給料しか得られない善良な市民が山ほどいるのに、人を殺した人間を国が税金で養ってあげることのなんと馬鹿らしいことだろうか。まるで国が、故意に人を殺したことへのご褒美をあげているかのようではないだろうか。

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