なぜ既婚者優遇政策が、少子化を進めることになるのか

少子化

 これまでに国が行ってきた少子化推進政策、すなわち既婚者を優遇し、独身者を冷遇することによって、少子化が進む一方だということについては、既に「この国が行ってきた少子化推進政策について」の稿で述べた。子どもを産むためには独身の男女が結婚することが必要であるのに、国はずっとその逆の政策を行ってきた、という内容である。

 ここでは、上記の結論に至る理由をもう少し掘り下げて説明することとする。

 独身である場合、子どもを産むことはできない。人間は単為生殖できないから、当たり前の話である。もちろん、結婚制度にこだわる必要はないから、ここで言う「独身」とは、「パートナーがいない人」という程度の意味である。

 一方、既婚である場合、すなわちパートナーがいる場合には、子どもを産むことができる。もちろん、身体的な理由で出産が不可能な人もいるが、本議論の本質とは関係ないので考慮しないこととする。独身者を100人集めても子どもを産むことはできないが、既婚者を100人集めれば子どもを産むことができるからである。

 ここで、既婚者が子どもを産むことができるのだから、国が既婚者を支援していることはやはり間違っていない、と勘違いした方もいるかもしれない。既婚者は、既にパートナーがいるのである。既婚者が既婚者となるために、国の支援は一切必要ない。重ねて言うが、もう既にパートナーがいるのである。一方、独身者が既婚者となるために、国の支援が必要なことはある。地方回りをさせないとか、過重労働をさせないとか、国が婚活パーティーを主催して費用を無料にする、とかである。

 地方回りの例を挙げよう。裁判所時代の私の実体験として、国は独身者に地方回りを強いる一方で、既婚者についてはパートナーと一緒に暮らせるように配慮していた。だが先ほども言ったとおり、既婚者は子どもを産むことができるのである。それは、パートナーが遠方で働いていた場合も同じである。なぜなら、一方が辞めれば一緒に暮らせるからである。一方が裁判所書記官で、一方が退職して引っ越してパート労働者になっても、子どもを産むことはできる。子ども一人なら十分満足のいくように育てられるだろうし、子ども二人でも育てることはできる。私の両親がそうだったし、私はそれで東大に行った。

 一方、独身者は一人も子どもを産むことができない。地方回りと過重労働で結婚している暇がなければ、子どもを産める「既婚者」になることができない。国の政策としてそうなっているのであれば、少子化が進むのは当たり前の話である。

 ちなみに、既婚者に対する支援が必要ない、と言っているわけではない。既婚者に対する支援は、夫婦と子どものQOLを向上させることに役立つからである。だがQOLと少子化に直接の関係があるわけではない。QOLの低い発展途上国において、日本より遥かに出生率が高かったりするからである。

 国はこれまでずっと、少子化対策と言いながら、実際にはQOL対策を行ってきたのである。国が本当のところは、少子化対策を諦めており、あるいは反出生主義思想を持っており、「現在生きている人」と「既婚者となっている人からこれから生まれる蓋然性の高い人」が少しでもマシに生きられるようにのみ考えてQOL対策を行ってきたのならば、私はそれでも構わない。いや、むしろそうであって欲しい。私が反出生主義者だからであるだけでなく、「明らかに間違っていること」をこの国のリーダー達がずっと行ってきた、と認識しているよりかは、遥かに精神的に楽だからだ。

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